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45歳で看護学校に入学、その生活を本に書いてベストセラーを狙い印税生活を夢見ている   ナースの日記です。
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病院実習の中での印象深いエピソードを3っつここに紹介したいと思う。
 1つ目は産婦人科実習の時の事である。
担当はインド人の初産婦さん。国民性というのだろうか。まだ産道(赤ちゃんが出てくる道)が殆ど開いていないのに、
「イタイ、イタイ、ダーリン助けて!こんなに痛いなら、子供なんか産みたくな~い!」
と、絶叫しまくる。旦那さんも旦那さんで  
「大丈夫、大丈夫だよ。ダーリン、大丈夫だよ」
と、とても優しい。彼もまた、妻の苦しんでいる姿をみていられなくて、何度も私に問い掛ける。
「まだですか?まだ産まれませんか?」
「まだまだ時間かかりますよ」
言葉を聞いた助産師さんが答える。
 そういった何回かのやり取りの後、隣の分娩室へ移動。いよいよ出産の時だ。ここでの絶叫は以前のとは比べものにならない。
「イタイよ~!イタイよ~!ダーリンた・す・け・て~!」
 病院中に響き渡る声の最後の方は言葉にならない。苦痛で歪んだ顔は過換気症候郡(息を吸いすぎ,血液に酸素が多くなりすぎて、手足がしびれたり、めまい等が起こる)を起こし、顔面蒼白になっている。そんな彼女を落ち着かせ、呼吸を整えさせる。
 助産師さんは慌てない。時には優しく、時には厳しく接している。
「すごいな。いつか私もこんな風にデキル看護師になりたいな。」
と、心底、プロの仕事ぶりに敬服した一件だった。
 その後、くだんのインド人の産婦さんは4kgもの赤ちゃんを無事、出産。4kgもあったのだから、私だって叫んだかも、と思う。いずれにしろ、母子共に健康で、良かった、良かった。
 
 産婦人科には明と暗がある。出産は明の部分。中絶が暗の部分だと思う。
 2つ目のエピソードはその暗の部分である。実習中に私は2度、中絶の手術に立ち会う機会があった。
 その内の1件は悲惨なものであった。受け持ちの患者さんの都合で、途中からの立会いであったが、私が手術室に入った時はもう、胎児の頭が割られ、膿盆に置かれていた。まだほんの小さな顔の窪みに閉じた眼があった。
「僕は産まれたかったのに…」
と、訴えているようだった。
 まだ手術台に横たわっている患者さんは、18歳の我が長女と同じ年くらいに見えた。2人の娘達には、けしてこんなことはして欲しくないと切に思った。
 
 3っつ目は精神科実習の時のエピソードである。
 20代後半の男性患者さんを私は受け持つ事になった。真面目で紳士的。そして、とても穏やか。これが彼に持った私の印象だった。
「本当に、精神病院の入院患者さんなのだろうか」
と、思う程であった。
 精神病院は男性病棟、女性病棟に分かれ、更に病気の種類や重症度によって、閉鎖病棟、開放病棟に分かれている。
 自分の意思で入院した人は、自分の意思で退院を申し出る事ができる。そして、医師が認めて、退院できる。
 私の受け持ったAさんは自分から、入院に同意した人であった。退院まであと少しと、説明してくれた。
 彼は京都の有名な大学を卒業し、一流の企業に入社した。大きなプロジェクトを任され、寝る間も惜しんで仕事に打ち込んだと言う。余りに早い昇進故、部下が年上となってしまった。結果として、部下から反感を買い、彼の言う通りには動いてくれない。今まで、順調に人生を歩んで来た彼には、どうしたら良いのか分からない。
 「僕が早く昇進しすぎたから、皆妬んで動いてくれないんだ。」
と、考えた彼は今までにも増して仕事に励んだと言う。成果を出したいと思えば思う程、独りで空回りしてくる。
 「もう駄目だ」
そう、考えた彼は、手首を切って自殺しようとした。
 何度も手首を切ったものの、死にきれず彼は上司に助けを求めたのだった。以上がAさんの入院までのいきさつである。
 当時の私は、自殺が精神病院の診療範囲に入ることさえ知らないでいた。だから、正直ビックリした。かつて、私も何度か死にたいと思ったことがあるからだ。あの時実行して未遂に終わっていたら、私もここにいるかもしれなかったからだ。
 Aさんは頭が良い。それゆえに、人の心を読もうとする。学生がレポートを書かねばならないのを良く知っていて、病状を自ら分析し、図に表したものを私に見せてくれた。自分の性格、置かれた環境、自殺を図るに至った心の経緯、更にこれから自分が取るべき行動、改めねばならない点などを事細かに図に示してある。この図を入院して2週目に一気に書き上げたと言うのだ。
 その事を実習指導の男性看護師に(何故かその精神科病棟の看護師は、殆どが男性だった)報告すると、彼は輸すように言った。
「そうやって、分析している事自体が問題なんだよ」
 Aさんの退院の時は、すでに実習は終了していた。心優しい彼は、今頃どうしているだろう。願わくは、2度と自殺を図る事も無く、Aさんらしい生活を送れるようにと、祈るばかりである。
 
病院実習の中での印象深いエピソードを3っつここに紹介したいと思う。

 

病院実習の中での印象深いエピソードを3っつここに紹介したいと思う。

 1つ目は産婦人科実習の時の事である。

担当はインド人の初産婦さん。国民性というのだろうか。まだ産道(赤ちゃんが出てくる道)が殆ど開いていないのに、

「イタイ、イタイ、ダーリン助けて!こんなに痛いなら、子供なんか産みたくな~い!」

と、絶叫しまくる。旦那さんも旦那さんで  

「大丈夫、大丈夫だよ。ダーリン、大丈夫だよ」

と、とても優しい。彼もまた、妻の苦しんでいる姿をみていられなくて、何度も私に問い掛ける。

「まだですか?まだ産まれませんか?」

「まだまだ時間かかりますよ」

言葉を聞いた助産師さんが答える。

 そういった何回かのやり取りの後、隣の分娩室へ移動。いよいよ出産の時だ。ここでの絶叫は以前のとは比べものにならない。

「イタイよ~!イタイよ~!ダーリンた・す・け・て~!」

 病院中に響き渡る声の最後の方は言葉にならない。苦痛で歪んだ顔は過換気症候郡(息を吸いすぎ,血液に酸素が多くなりすぎて、手足がしびれたり、めまい等が起こる)を起こし、顔面蒼白になっている。そんな彼女を落ち着かせ、呼吸を整えさせる。

 助産師さんは慌てない。時には優しく、時には厳しく接している。

「すごいな。いつか私もこんな風にデキル看護師になりたいな。」

と、心底、プロの仕事ぶりに敬服した一件だった。

 その後、くだんのインド人の産婦さんは4kgもの赤ちゃんを無事、出産。4kgもあったのだから、私だって叫んだかも、と思う。いずれにしろ、母子共に健康で、良かった、良かった。

 

 産婦人科には明と暗がある。出産は明の部分。中絶が暗の部分だと思う。

 2つ目のエピソードはその暗の部分である。実習中に私は2度、中絶の手術に立ち会う機会があった。

 その内の1件は悲惨なものであった。受け持ちの患者さんの都合で、途中からの立会いであったが、私が手術室に入った時はもう、胎児の頭が割られ、膿盆に置かれていた。まだほんの小さな顔の窪みに閉じた眼があった。

「僕は産まれたかったのに…」

と、訴えているようだった。

 まだ手術台に横たわっている患者さんは、18歳の我が長女と同じ年くらいに見えた。2人の娘達には、けしてこんなことはして欲しくないと切に思った。

 

 3っつ目は精神科実習の時のエピソードである。

 20代後半の男性患者さんを私は受け持つ事になった。真面目で紳士的。そして、とても穏やか。これが彼に持った私の印象だった。

「本当に、精神病院の入院患者さんなのだろうか」

と、思う程であった。

 精神病院は男性病棟、女性病棟に分かれ、更に病気の種類や重症度によって、閉鎖病棟、開放病棟に分かれている。

 自分の意思で入院した人は、自分の意思で退院を申し出る事ができる。そして、医師が認めて、退院できる。

 私の受け持ったAさんは自分から、入院に同意した人であった。退院まであと少しと、説明してくれた。

 彼は京都の有名な大学を卒業し、一流の企業に入社した。大きなプロジェクトを任され、寝る間も惜しんで仕事に打ち込んだと言う。余りに早い昇進故、部下が年上となってしまった。結果として、部下から反感を買い、彼の言う通りには動いてくれない。今まで、順調に人生を歩んで来た彼には、どうしたら良いのか分からない。

 「僕が早く昇進しすぎたから、皆妬んで動いてくれないんだ。」

と、考えた彼は今までにも増して仕事に励んだと言う。成果を出したいと思えば思う程、独りで空回りしてくる。

 「もう駄目だ」

そう、考えた彼は、手首を切って自殺しようとした。

 何度も手首を切ったものの、死にきれず彼は上司に助けを求めたのだった。以上がAさんの入院までのいきさつである。

 当時の私は、自殺が精神病院の診療範囲に入ることさえ知らないでいた。だから、正直ビックリした。かつて、私も何度か死にたいと思ったことがあるからだ。あの時実行して未遂に終わっていたら、私もここにいるかもしれなかったからだ。

 Aさんは頭が良い。それゆえに、人の心を読もうとする。学生がレポートを書かねばならないのを良く知っていて、病状を自ら分析し、図に表したものを私に見せてくれた。自分の性格、置かれた環境、自殺を図るに至った心の経緯、更にこれから自分が取るべき行動、改めねばならない点などを事細かに図に示してある。この図を入院して2週目に一気に書き上げたと言うのだ。

 その事を実習指導の男性看護師に(何故かその精神科病棟の看護師は、殆どが男性だった)報告すると、彼は輸すように言った。

「そうやって、分析している事自体が問題なんだよ」

 Aさんの退院の時は、すでに実習は終了していた。心優しい彼は、今頃どうしているだろう。願わくは、2度と自殺を図る事も無く、Aさんらしい生活を送れるようにと、祈るばかりである。

 

 1つ目は産婦人科実習の時の事である。
担当はインド人の初産婦さん。国民性というのだろうか。まだ産道(赤ちゃんが出てくる道)が殆ど開いていないのに、
「イタイ、イタイ、ダーリン助けて!こんなに痛いなら、子供なんか産みたくな~い!」
と、絶叫しまくる。旦那さんも旦那さんで  
「大丈夫、大丈夫だよ。ダーリン、大丈夫だよ」
と、とても優しい。彼もまた、妻の苦しんでいる姿をみていられなくて、何度も私に問い掛ける。
「まだですか?まだ産まれませんか?」
「まだまだ時間かかりますよ」
言葉を聞いた助産師さんが答える。
 そういった何回かのやり取りの後、隣の分娩室へ移動。いよいよ出産の時だ。ここでの絶叫は以前のとは比べものにならない。
「イタイよ~!イタイよ~!ダーリンた・す・け・て~!」
 病院中に響き渡る声の最後の方は言葉にならない。苦痛で歪んだ顔は過換気症候郡(息を吸いすぎ,血液に酸素が多くなりすぎて、手足がしびれたり、めまい等が起こる)を起こし、顔面蒼白になっている。そんな彼女を落ち着かせ、呼吸を整えさせる。
 助産師さんは慌てない。時には優しく、時には厳しく接している。
「すごいな。いつか私もこんな風にデキル看護師になりたいな。」
と、心底、プロの仕事ぶりに敬服した一件だった。
 その後、くだんのインド人の産婦さんは4kgもの赤ちゃんを無事、出産。4kgもあったのだから、私だって叫んだかも、と思う。いずれにしろ、母子共に健康で、良かった、良かった。
 
 産婦人科には明と暗がある。出産は明の部分。中絶が暗の部分だと思う。
 2つ目のエピソードはその暗の部分である。実習中に私は2度、中絶の手術に立ち会う機会があった。
 その内の1件は悲惨なものであった。受け持ちの患者さんの都合で、途中からの立会いであったが、私が手術室に入った時はもう、胎児の頭が割られ、膿盆に置かれていた。まだほんの小さな顔の窪みに閉じた眼があった。
「僕は産まれたかったのに…」
と、訴えているようだった。
 まだ手術台に横たわっている患者さんは、18歳の我が長女と同じ年くらいに見えた。2人の娘達には、けしてこんなことはして欲しくないと切に思った。
 
 3っつ目は精神科実習の時のエピソードである。
 20代後半の男性患者さんを私は受け持つ事になった。真面目で紳士的。そして、とても穏やか。これが彼に持った私の印象だった。
「本当に、精神病院の入院患者さんなのだろうか」
と、思う程であった。
 精神病院は男性病棟、女性病棟に分かれ、更に病気の種類や重症度によって、閉鎖病棟、開放病棟に分かれている。
 自分の意思で入院した人は、自分の意思で退院を申し出る事ができる。そして、医師が認めて、退院できる。
 私の受け持ったAさんは自分から、入院に同意した人であった。退院まであと少しと、説明してくれた。
 彼は京都の有名な大学を卒業し、一流の企業に入社した。大きなプロジェクトを任され、寝る間も惜しんで仕事に打ち込んだと言う。余りに早い昇進故、部下が年上となってしまった。結果として、部下から反感を買い、彼の言う通りには動いてくれない。今まで、順調に人生を歩んで来た彼には、どうしたら良いのか分からない。
 「僕が早く昇進しすぎたから、皆妬んで動いてくれないんだ。」
と、考えた彼は今までにも増して仕事に励んだと言う。成果を出したいと思えば思う程、独りで空回りしてくる。
 「もう駄目だ」
そう、考えた彼は、手首を切って自殺しようとした。
 何度も手首を切ったものの、死にきれず彼は上司に助けを求めたのだった。以上がAさんの入院までのいきさつである。
 当時の私は、自殺が精神病院の診療範囲に入ることさえ知らないでいた。だから、正直ビックリした。かつて、私も何度か死にたいと思ったことがあるからだ。あの時実行して未遂に終わっていたら、私もここにいるかもしれなかったからだ。
 Aさんは頭が良い。それゆえに、人の心を読もうとする。学生がレポートを書かねばならないのを良く知っていて、病状を自ら分析し、図に表したものを私に見せてくれた。自分の性格、置かれた環境、自殺を図るに至った心の経緯、更にこれから自分が取るべき行動、改めねばならない点などを事細かに図に示してある。この図を入院して2週目に一気に書き上げたと言うのだ。
 その事を実習指導の男性看護師に(何故かその精神科病棟の看護師は、殆どが男性だった)報告すると、彼は輸すように言った。
「そうやって、分析している事自体が問題なんだよ」
 Aさんの退院の時は、すでに実習は終了していた。心優しい彼は、今頃どうしているだろう。願わくは、2度と自殺を図る事も無く、Aさんらしい生活を送れるようにと、祈るばかりである。
 
 
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